カテゴリー別アーカイブ: 作家名《た》行

「僕は奇跡しか起こせない」田丸久深/著

僕は奇跡しか起こせない (宝島社文庫 『日本ラブストーリー』大賞シリーズ)

10歳で突然亡くなった幼馴染み真広を25歳になっても忘れられない紗絵。
高校で臨時の養護教諭として働く彼女の前には、同じ年齢まで成長した姿の真広が「奇跡を起こす存在」である「キセキ」として雨の日だけ現れる…。

雨の日にだけ現れる「キセキ」の真広と、養護教諭である紗絵の、お互い好きなのだけれども未来が交わることのない切ない物語でした。
なにを言ってもどうにもならないもどかしさのようなものが物語の中にあるのですが、最後まで楽しめました。
人が死ぬ話よりも、人が死んだ後の話の方が悲しさが増すような気がします。
残された人と、残して逝ってしまった人の双方が、いろんなものを抱えて、それでも明日という方向を向いて進んで行くしかないような感じです。
奇跡が必ず人を幸せにするとは限らないのですが、それでも奇跡が起きたから「いま」があるのだと言えるように思えました。

「思い出のとき修理します 3 空からの時報」谷瑞恵/著

思い出のとき修理します 3 空からの時報 (集英社文庫)
シリーズ3作目は家族の物語でした。
短編4作品が収録されていますが、今回は明里と秀司の家族に対する考え方であったり、商店街の人々の家族模様がこれまでよりも色濃く出てきたような気がします。
明里の義父や実父の話であったり、明里が忘れていたような思い出であったり。
恋愛であればふたりで成立する関係も、そこから発展するとなると双方の家族が絡んでくる問題なので、明里が頭を悩ませたりしていましたが、家族に対する意識というのは千差万別な気がします。
4作品の中で一番好みだったのは「星を探す人」。
懐中時計の話ですが、色んな誤解がありつつも、時が解決してくれるという流れになるといいのに、と感じる話でした。
物語としては、明里と秀司の恋愛がただ恋愛だけで終わらずに進むことを期待します。